アトリエIGANDA・三野計先生をご存知でしょうか?
私の友人アーティストも何名か三野先生の元で学んでいたようで、
毎年開催されている「IGANDA OB展」で展示をしていたりもして、
三野先生のお名前はよく存じ上げておりました。
何を隠そう、このせいかつクリエイトのパートナー・石川智子もアトリエIGANDAの卒業生。
智子さんをはじめ、みなさん活躍されている人ばかりなので、先生の腕がよいのだろうな〜と思っていました。
ただ・・・もう一つの噂も聞いておりました。
それは・・・
「めちゃくちゃ厳しい」
ということです。
今回のせかクリでは、そんな真相を確かめるべく、10/2からスタートする三野先生の個展「ミノのビーナス展」のご紹介も兼ねて
三野先生の魅力について迫ってみようと思います。
ありえない数の愚人。一体何のために!?
アトリエイガンダは、西一万町。
ロープウェイ街の近くにあります。
イガンダOB生である石川智子姉さんに連れられて
トントントン・・・お邪魔しま〜す♪
中は、「THE アトリエ!」という感じで、とても素敵です。
おぉ、トモリン、いらっしゃい。
お邪魔しまーす。
はじめまして!
大木です!
なんだか、思ったより優しそう♪
智子さん、「トモリン」なんだ(笑)
そう安堵して、先生の目の前に置いてあるクリアケースに目を向けると・・・
何やらうじゃうじゃ紙のようなものが入ってる。
そして、謎にたくさんのボールペン。
先生、この赤いやつ何ですか?
これが、「愚人」よ〜。
後ろには、ポーズの切りカスがありますよ。
振り返ってみて〜。
な・・・・なんじゃこりゃ〜〜〜!!!
もしかしてこれもですか??
これ、一体何体いるんです??
今のところ、「右往左往」のポーズが1万4000体ぐらい。
切りカスがざっと100万体ぐらいかな。
まさか、これ全部切り抜いてるんですか !?
そうよ〜。
紙の上にこの台紙を置いてね〜。
カッターで一体ずつ切り抜いてね〜。
え(爆笑)!?
ちょっと、正気の沙汰とは思えないのですが・・・。
切り抜いた愚人はどうするんですか?
愚人はこうやって、作品にするねぇ。
よく見たら、
このアトリエ、愚人だらけですね・・・(汗)
すごーーーーーー!!!!
なぜこんなにたくさんの愚人を作っているんですか?
他にすることがないからよ。
ご冗談を・・・(笑)
いや、本当のことよ。
中途半端な時間、隙間な時間にひたすらつくってるんよ。
まぁ、病院入院中が一番進んだかねー。
そう、三野先生は2年前に脳梗塞で倒れ、入院をされていたのです。
入院される前から、三野先生は活動中止状態。
個展も行わず、10年間沈黙を貫きました。
それは病気のせいかと思われていたのですが、実は東日本大震災がきっかけだったのです。
個展に出品しようとした作品、「かけあがる」が完成した1週間後、東日本大震災が起こってね。
その作品が、震災の悲惨な情景と重なって見えたわけよ。
「自分はこんな作品を作ってていいんやろうか・・・」と悩んで悩んで・・・。
だんだん制作意欲も失って。
それからしばらくは、ただひたすら写経をするように、祈るように「愚人」を描いたねぇ。
なるほど、愚人をひたすらつくることは
三野先生にとって、「祈り」の作業なのですね。
そう。
愚人は「祈り」の形だったんです。
ひたすら愚人をつくって、
作品をチャリティーオークションに出品した。
過去の作品もたくさん。
それが95万円ぐらいになって、直接被災地へ寄付を届けることができて。
そこでようやく吹っ切れることができたんです。
そこからの、今回の個展なんですね。
ちなみに「愚人」ってそもそも何なのですか?
愚人は、愚かな日本人の姿です。
インドを旅した時、貧しくてもそこであたたかく暮らしている人たちの姿に出会って
昔の田舎の風景、今日本人が失ってしまっている、本当の意味での生きる歓びを感じたんです。
失われていくものに対する危機感から、メッセージとして愚人をつくっているんです。
深っ!!!!
一体一体手で描いて、切り抜く作業は
今の時代から完全に逆行しているけれど、あえてアナログ。
徹底アナログよ。
そこには、今の便利な時代への挑戦の気持ちも込められている。便利でも、発展性がないものもあるからね。
三野先生、スパルタ説は本当なのか!?
アトリエ・IGANDAは、美大に行きたい学生のための学校でした。
破門されたとか、されなかったとか・・・そんな話も聞きます。
果たして、三野先生は本当に鬼のような指導をされていたのでしょうか。
敢えて、直球でお聞きしますが、
三野先生はスパルタなんですか(笑)?
アトリエには・・・ムチがあったねぇ。
ひっ!!!!
ムチですか・・・。
先生、今はずいぶん丸くなっているんだけどね。
相当厳しい先生で有名だったのよ〜。
たくさんの人を破門にしたからねぇ〜。
いつかここを放火する奴も出てくるかもとは覚悟してたね。
マジっすか・・・。
ちなみに、ムチって・・・どんな時に使ってたんですか。
気持ちがたるんでる奴、
心構えができていない奴には容赦無く鞭をふるったね。
特に時間を守れない奴はイカン。
時間に遅れてきたやつは表に並べて、お尻を出させて
鞭で叩いた。
たまには鞭が折れることもあったねぇ(笑)
(ヤベェ、全然笑えねぇ・・・)
絵のことじゃなくて、気持ちの部分でカツを入れてたわけですね。
でも、智子さんのことは「トモリン」なんですね?
なんか、ゆるいのか厳しいのか・・・わけわかりません。
そうねー。
やるときと気をぬくときのメリハリはつけてたかな。
トモリンの同期は
メモりん、ペラどん、ワラミー、ねばごん
みーんなあだ名つけてあげとったな〜。
トモリンは、今はトモリンだけど
ペラペラしゃべるから当時は「ペラどん」だったわけよ。
なるほど。
緩急の差が、ありえないほど大きいですね(汗)
でも、今の智子さんや、私のイガンダOBのお友達の活躍を見ると、先生の指導は素晴らしかったんでしょうね。
実際どんな指導をされたのですか?
「やって見せる」に限るね。
ひたすら、制作する後ろ姿を見せること。
時間があればいつも制作する。
それだけかな。
先生は、日々どんな風に制作してるんですか?
タイムスケジュールを教えてください。
まず朝は5時半に起きる。
それからずっと寝る寸前まで制作しよるね。
昼間、時々喫茶店に行くこともあるけれど。
今は夜は12時前には寝るけれども、
作品作りに没頭しているときは、夜中の2時〜3時ぐらいまで。
例えば、この作品なんかは、ハンコで愚人をつくっているんだけど「夜中になると、隣からコトコト音がする」ってお隣さんから噂されたりもしたね。
パネルに13万体の愚人を押しているから、見ていて気分が悪くなる人もいてね。
そのときは、作品に疲れを見せてしまった・・・って反省したよ。
今は、うまい具合に気を抜きながら制作できていると思うよ。
先生が頑張っているから、私たちも頑張ろう!っていう気持ちになりますね。
で・・・今は、鞭はやってないんですか(笑)
竹刀はあるね〜。
ひえ〜〜!
竹刀はあるんかいっ!!!
10/2〜13は「ミノのビーナス展」へ!
そんな、お茶目でストイックで、最高にアーティスティックな三野計先生による個展が、愛媛県美術館で開催されます。
「見る」だけではなく、体験できる展示会。
期間は2週間ですが、作品は変動し続ける面白い仕掛けがあります。
何度でも見に来てね!
なんと、3回来場すると展示作品を1つプレゼント!!!
おおお!!!
ほすぃ!!!!!
トモリンが愛を込めてつくったこちらのページもぜひ。
https://ti-c.net/artist/minokei/
三野先生の動画も観ることができます。
続きは、展示会場でっ♪
愚人だらけ!ミノのビーナス展
2019.10.02(水)〜10.13(日)
愛媛県美術館 新館2F 特別展示室3
入場無料 9:40〜18:00
※10/8(火)は休館日です