第四話:本当の“シンプル”とは

生活空間コーディネーター平野美香さんの連載記事第4弾です。
今までの記事はこちらからご覧くださいね。

暮らしの余白のつくり方

ちいさな空間で、ストレスをためずに過ごす工夫

昨年の秋、美香さんは引っ越しをしました。

もともと住んでいたマンションの事情で、急いで引っ越しをしないといけないことになり、子どもたちの通園のことなども考慮し、3LDKから2LDKのマンションに住まいを移したのです。

一般的に、「狭くなること」はデメリットに感じることが多いかもしれませんが、美香さんの考えはそうではありませんでした。制限があるなかで、空間をうまくつくるのが、生活空間コーディネーターの腕の見せ所です。

部屋数が少なくなることで、家族の逃げ場がなくなった。
さて、いかに家族4人のストレスがたまらない暮らしをつくることができるか・・・!美香さんの実験がはじまりました。

こちらは、前に住んでいたおうちです

前に住んでいたおうちと、今のおうちで大きく違うところのひとつに、キッチンの形状があります。

以前はリビングを見渡せる対面型だったのに対して、今のキッチンは独立型。料理をしているときに、どうしても美香さんがキッチンにこもってしまう構造です。

美香さんのことが大好きな子ども達。「ちゃーちゃん(子どもたちは美香さんのことをこう呼びます)がずっとおらんけん…」と寂しそうにすることが増えてきてしまいました。

そこで、美香さんは家具の移動をし、キッチンの横にリビングテーブルを配置。お料理しながらも、すぐ隣に子どもたちの雰囲気を感じ取れるようになりました。

家族の距離感は、成長や状況とともに変化します。今の、美香さんとご主人、子どもたちにとってちょうどよい距離感を探す。そして、家具の配置で調整する。実験の繰り返しです。

コロナ禍になって、美香さんに多く相談されたのはこの「距離感」の問題でした。テレワークや休校で、家族と一緒に過ごす時間が増えて、逆にストレスを貯めてしまう家族が多かったのです。いくら大好きな家族でも、距離感は大切。そこを丁寧にみて、アドバイスをするのが美香さんの仕事。

家族の雰囲気を感じとりながらも、それぞれのことに取り組める・集中できる空間づくり。これからの時代にとても大切なことだと思います。

本当のシンプルとは?

引っ越しに伴い、美香さんはたくさんのモノを取捨選択しながら、「持ちすぎていること」を実感したそうです。

引っ越しをして感じたのは、「必要なものしか持たない心地よさ」でした。

モノと向き合ううちに見えてきたのは、自分の「こう見られたい」という外からの視点。「今までの私は、すごく高いヒールを履いていたのかも」と美香さんは言います。

「今の自分にはこれが最適!」を選択することは、簡単なようでいて、難しいです。このSNS社会、素敵なインテリア、素敵な食事、素敵な日々・・・etc…誰かの「日常」を毎日見られるのは楽しいことですが、それによって「自分」がゆらいでしまう時代。

賃貸だから
子育てしているから
転勤族だから・・・

目の前にある条件がデメリットに感じてしまうこともあるかもしれない。

でも、実はそのことは、デメリットではなくメリットの場合が多いのです。

目の前にある大きなメリットを生かす方法

それを伝えるのが、美香さんの仕事なんだなぁ。

お話を聞きながら、しみじみと感じていました。

本当のシンプルとは・・・?
すっきりした空間でもなく、
モノが少ないことでもなく、

素の自分であること。
素の家族であること。

それが、美香さんが伝えたい「シンプル」の在り方なんだと思います。

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美香さんとのおしゃべりで、自分が大切にしているものがくっきりしてくるはずです。

なにかをあたらしくスタートしたくなる季節!
ぜひ、美香さんにアドバイスをもらいながら、おうち時間を楽しんでくださいね。