「インテリアコーディネーター」というお仕事をご存知ですか?
名前のとおり、住宅やオフィス、公共施設などのインテリアを、依頼主からのオーダーに応じてアドバイスするお仕事です。
単に、家具を選び、空間に配置していくだけの作業であれば、もちろん素人にもできます。私にだってできます。
でも、インテリアコーディネーターには、それ以上の見えない仕事をこなす力が備わっているのです・・・!
これからはじまるエッセイは、
私、大木春菜が感じた
生活空間コーディネーター・平野美香さんの空間のつくり方、大事にしていること、美香さんにしかできない仕事を発信していくマガジンです。
まずは第一話、お楽しみください♪
空間の可能性を引き出す
今回のご依頼は、工房のコーディネート。
私のお友達でもある、お財布作家PETTICAミチヨちゃんの空間づくりのお手伝い。
いつでもOPENしていて、遊びに行ける店舗を兼ねた工房ではなく、お財布の制作や撮影、オンラインでの配信やイベントをメインとしたスペースです。
時々セッションやリアルイベントも企画して、その時には実際にお客さまも足を運ぶ・・・というイメージ。
場所は、古い建物をリノベーションしたビルの一室です。
このお部屋には、ドア付きの小さなお部屋があり、ミチヨちゃんはそのドアを取っ払い、広く場所を確保しようと考えていました。
そこで美香さんがアドバイス。
この部屋、残しておいた方がいいんじゃないかな?
その理由は、これからの可能性を考えてのことでした。
「見せるところと隠すところをつくる」ことは、これからの可能性を広げることにつながります。
将来的にミニキッチンを据えることもできるし、
物をしまうこともできる、
PETTICAさんにお子さんがいることも聞いた上で
「子どもさんが来たときに、宿題をしたり自由に過ごせる場所にもなる」と言われていて
なるほどな〜と思いました。
つけなくてもいいかな・・・と思っていたカーテンに関しても、
今、外の環境が気になってなくても、あとで気になってくると思う
と、美香さん。
外の人の雰囲気を感じられるのはとても素敵だけど、
作業中、目線が気になってしまうこともあると思う。
それにカーテンには、「目隠し」だけではなく、「雰囲気づくり」の役割もある。
たとえば、レース製のカーテンを敢えて通常のカーテンよりも長めにして、海外っぽく演出するのもいいかも!
インテリアの仕事の中でも、特にカーテンに関してのキャリアが長い美香さん。
カーテンの意味、効果を知り尽くしているからこその提案です。
今回、打ち合わせに立ち会わせてもらって強く思ったこと。
箱自体が完成する前から、美香さんに入ってもらうことって大切だな〜。
間取りが完成してから「カーテンだけ選んで欲しい」とか、「テーブルだけ考えて欲しい」と言うよりも、その前段階から美香さんにアドバイスをもらうことで、未来の可能性を広げることができるんだな〜としみじみと凄さを思い知りました。
家だってそうですよね。
建ててから「こうすればよかったな〜!」って後悔することが多かったりする。
最初から美香さんに相談することで、私たちが想像し得ない可能性を教えてくれて、空間を最大限生かしてくれる。
これって、本当に頼もしいことで、誰でもできることではないです。
「コーディネート」という、目に見えない価値
現場での打ち合わせから数日後、美香さんのご自宅で再度打ち合わせをしました。
今日は買ってきたお惣菜だけなんだけど・・・!
と、お惣菜をお皿に持って出してくれたのですが、とっても素敵なお食事でした。
器に盛り付ける、お味噌汁と惣菜をプラスする
それだけで、買ってきたお惣菜もこんなに素敵に変化するなんて!
暮らしをコーディネートするってこういうことなんですよね(感嘆のため息)。
ちなみに、美香さんはめっちゃくちゃ料理上手です。私は完全に、美香さんに餌付けされてますので(笑)!この話はまた別の機会に・・・。
さて、食事が終わったら、おやつをいただきながら打ち合わせです。
今回、ミチヨちゃんが一番に相談したかったのは、ペンキで塗る壁のカラー。
PETTICAの工房は、商品の撮影場所としても活用予定なのです。撮影の背景にもなる壁のカラーは、とっても重要でした。
そこで美香さんからのアドバイス。
商品撮影の背景のためだけに色付けをしてしまうと、
空間自体が生きなくなってしまう。
優先順位を間違えず、心地よい空間をつくった方がいいと思う。
例えば、メインの商品がお財布なら、背景はそんなに大きくなくてもいい。
壁に撮影の背景にもなるパネルを設置するのもいいかも。
な・る・ほ・ど!
そんな手があったか〜〜〜!!!!
長年、インテリアの仕事をしている美香さんは、今の流行りや、これから来るモノにも敏感です。
これからは黒が似合うようなベージュじゃないかな?
サンプルを見せながら、カーテンのアドバイスもしてくれました。
あとは、空間にミチヨちゃんの手持ちの家具をどう空間に合わせていくか、間取りをどうやってつくっていくかの話。
ミチヨちゃんは、クリエイティブでセンスのある人。
ある程度頭の中に構想ができていたので、図面を見ながら説明。
すると、ここでまたもや美香さんのびっくりなご提案が・・・!
奥の撮影スペースの床を一段あげて、
セッションや打ち合わせもできるスペースにするのはどうかな?
段差ができると、空間自体がおもしろくなるし、打ち合わせに来たお客さんにとっても特別感が生まれる。
その部分だけに、タイルを貼ったりしてもいいかもしれない。
そして手前にある工房スペースは、逆に無造作にしていた方がオシャレになるはず。
お客さんが来る場所と、作業で使う場所を分けることで、ミチヨちゃん自体、空間の管理がラクになるし、お子さんが遊びに来たときも、工房スペースの方に居てもらったら気にならないはず。
全く考えてもいなかった考えに、驚きました。
床を一段上げる・・・!?
そんなことができるんだ(◎◎)!
当然ですが、空間は増築でもしない限り広げることはできません。
でも、美香さんの手に掛かると、同じ大きさでも広くしたり、立体的にしたり、そして何より将来の可能性を広げてくれる・・・!!!
これこそが、生活空間コーディネーターのお仕事なんだなぁと感動しました。
目には見えないけれど、魔法使いのような仕事をしているんです!
PETTICAの新しい工房、どんな感じで仕上がるのかとっても楽しみ。またこの場でもお知らせさせていただきますね。
★美香さんのお仕事、もっと知りたいと思った方はinstagramをのぞいてみてください!