縫製ラプソディー*vol.03トンカラリと糸飾り

前回のお話

縫製ラプソディー * vol.01 ハンドメイドTamの誕生
縫製ラプソディー * vol.02 松山トリコ

道後温泉開運めぐりにかかわった関係で、開運グッズに興味が湧いた和子さん。
社協で古着物の再利用のお話もあり、新たな商品にチャレンジ。

ブランドネーミングは【COMOHAPI  common happiness】。
「日常の生活にしあわせを」というテーマに、開運グッズをプロデュースすることとなりました。

ロゴはもちろん智子さん作。
ロゴにあしらっているのは、順風満帆に航海する帆掛船。
「よきことは海の向こうからやってくる」という言い伝えよりデザインしたものです。

おうちの守り神トンカラリ

さて、どんな作品をつくろうかと考えた時に、和子さんが思い出したのがこちら。

幼き日に、和子さんが何度も何度も何度も眺めて、
縫い物を勉強していたこの本。

その中でも、一層印象深かったこのお馬さんのぬいぐるみ。

このぬいぐるみを着物で作ってみてはどうかしら?と考え付いたのでした。

馬の置物は、家に飾ると世間に認められ、名声を手に入れることができると言われているので開運グッズにもぴったりです。

そこにもうひとつの開運ポイントをプラス。
背中に「背守り」を縫い足しました。

背守りのヒントとなったのがこの本、「背守り練習帳」。

背守りとは、江戸時代から昭和初期にかけて広く知られた習慣。
小さな子供の着物の背中には縫い目がないので、
魔物をにらみつける目の役割として縫い付けられた魔除けの印です。

医療技術も乏しかった当時、幼くして命を落とす子どもも多かったため、母親は子どもを守りたい一心でひと針ひと針想いを込めて縫いました。 

そんなお母さんからのお守りを背中に背負ったお馬の人形がこちら。

名前は「トンカラリ」。
トンカラリ〜トンカラリ〜♪

リズミカルな馬の足音と機織り機の音を表しています。

着物でつくりますので、一点もの。
背守りも、それぞれに様々なものが入っています。

トンカラリ、最初はこんな感じに布を切ることからはじめます。

ひと針ひと針心を込めて背守り刺繍をほどこします。

一番難しいのが、綿を詰めるところ。

足の先や顔の先のような細いところは、綿を少しずつ少しずつ、ぎゅっぎゅっと詰めていきます。

少しずつ詰めるのを端折って、
大きな綿のかたまりを詰めるとでこぼこした仕上がりになってしまうので、細心の注意を払います。

刺繍やパーツの縫い合わせは、数をこなすと慣れて楽になってくるらしいのですが、綿詰めはいつも気を使います。

ぬいぐるみに綿を詰め、形ができてくると
不思議と布と綿ではなく、ちょっとタマシイのようなものが生まれてくるようで、なおさら変に仕上げてはいけないというプレッシャーが生まれます。

背守りの意味も知って欲しいとの想いから、背守り豆知識のミニブックも同包。
手作りの布バッグに入っています。

トンカラリは以下のサイトで販売中。

せかクリショップ ▶︎ https://sekakuri.thebase.in/

お気に入りのお馬さんを見つけたらぜひお家の守り神にしてあげてくださいね。

大州和紙から作る糸飾り

トンカラリーだけでは飽き足らず、新たなインスピレーションに従い、さらに新商品を制作した和子さん。

大州和紙に開運の吉祥紋を入れた、やさしい風合いの壁掛けが誕生しました。

大州和紙は薄くて強く、漉きむらがない高級和紙として知られ、平安時代から続く清流小田川の水を使用した伝統の「流し漉(す)き」の技法で生産されています。

吉祥紋は縁起がいいとされる動植物や物品などを描いた図柄のこと。
壁掛けとして使うと、幸福がやってきそうです。

糸飾りの難しいところは、刺繍に使っている絹糸の扱いがなかなか大変なところ。

くるくるとねじれたり、よれたりするのを直しながら刺すのに気を使います。

真ん中の一点に糸が集まるデザインの場合は、
綺麗に糸が重なるように刺さないといけないのですが、これまた一苦労。

とても大変な作業ですが、和紙の肌触りやきれいな色に癒されながら刺しています。

こちらは和子さんのご自宅の床の間。
こんな感じでずらっと並べるのも素敵ですね。

こちらも同様に、せかクリショップでお取り扱いしております。

出産祝いに、新築のお祝いに、
意味のこもったお守りギフトはいかがでしょうか。

次回は、COMOHAPI商品クラッチバックをご紹介します。
お楽しみに♪

ハンドメイドTam 田村和子

6歳から趣味で始めた手芸。 現在は薬剤師の仕事をしながら、常に針と糸を持ち歩き、隙間時間ができれば縫い物を。松山トリコ、KOMOHAPIシリーズをはじめ、さまざまな作品を製作している。

http://sekakuri.com/magazine/tam