前回のお話→縫製ラプソディー * vol.01 ハンドメイドTamの誕生
圓満寺の「お結び玉」づくりで大活躍した和子さん。
しばらくして、再び大活躍のチャンスがやってくることとなります。
それは、松山市道後温泉事務所と松山市社会福祉協議会からの「道後温泉貸浴衣の再利用を通じて、障がいのある人や高齢者の仕事を生み出せないか」という依頼。
年間で廃棄されている浴衣は70〜80枚。
それを活用して、観光PRにもつないでいけたらとのこと。
「完成したら、道後温泉本館に置きたい」と言われました。
浴衣の再利用商品はすでにいくつかありましたが、
再利用感が全面に出てしまい、なかなか売り上げに結びついていないのが現状。
そこで、まずは浴衣をきれいに染め直すことから始めることに。
小学校の時から、Tシャツを染めて遊んでいた和子さん。
昔を思い出しながら浴衣を染め、すぐに制作に取りかかりました。
道後温泉に置くなら、どんなものがいいのだろう?
悩んだ和子さんは、息子さんに相談。
すると、「本館に置くなら、座布団じゃない?」とのこと。
息子さんの意見で、第一弾は座布団を提案することに決めました。
松山トリコの誕生
決まってからはあっという間!
恐ろしい速さで、デザインと縫製を進め、出来上がったのがこの「おじゃみクッション」です。
道後温泉おじゃみクッション
クッションのみ ¥2,200、エコバック付 ¥2,500
おじゃみクッションは枕や座布団、椅子の腰あて、正座クッションとしてつかうことを想定して制作。
ロゴとブランディングは、Ti create石川智子さん。
「トリコ(toricot)」とは、フランス語で“編んだもの” という意味。
商品タグのトリコカラーの赤は「道後温泉」、
緑は「松山市」、
オレンジは「愛媛県」をイメージし、協働を意味しています。
染めは、就労継続支援事業所 なないろ工房に依頼。
和子さんと智子さんで何度か指導に行き、一緒に染色作業。
(この様子は、NHKからの密着取材を受けました!)
染色作業は、うっかりすると染めムラがでるなどして難しい作業ですが
なないろ工房のみなさんはとっても仕事が丁寧で、
美しく仕上げてくださいました。
縫い物は、高齢者や子育て中の主婦のみなさんに依頼。
みなさん覚えが早く、優秀!!
仕事にやりがいを感じてくれている様子がとても嬉しかったです。
妖怪ミシンがけババア!?
こうして出来上がったおじゃみクッションとエコバックは、2014年8月から道後温泉本館で発売開始!
とても売れ行きが好評で、第二弾を出そうということになり誕生したのが「湯玉トートバッグ」です。
湯玉トートバッグ ¥5,000
せっかく手作りなのだからと、オーダーメイドも受付。
※現在、オーダーは受け付けておりません。
本館にカラーサンプルを置き、
①取手、②浴衣染色、③帆布の3色を選べるようにしました。
とても楽しい試みなのですが・・・これが、自分の首をしめることに(笑)
想像以上の反響で、3週間で60個のオーダーを受けたことも。
オーダーに関しては、「自分たちで」と考えていたので
和子さんは徹夜で浴衣を染め、ミシンがけをする日々・・・。
ひたすら部屋にこもってミシンがけ。
夜中に部屋から響き渡るミシンの音。
ドドドドドドドドド・・・・・
部屋をのぞいた息子さんが一言。
「妖怪ミシンがけババア!!!!!」
衝撃の一言ですが、それだけ和子さんは必死だったのです。
薬剤師の仕事をこなしながら、
ひたすら染めて、縫って、仕上げる日々。
想像を絶する大変さでした。
新商品続々
こうやって苦労を重ねながらも新商品を作り続けた和子さん。
そう、和子さんは縫い始めるとどんどんアイディアが湧いてきて
ついつい新しいものを編み出してしまうのです。
「紙(かみ)の湯カードケース」 シングル ¥700、ダブル ¥1,000
湯あがりコースター 3枚セット ¥500
湯あがりカバー ¥1300
和子&智子コンビでどんどん新作が登場!
湯あがりカバーは、文庫本カバーとしてはもちろん、おくすり手帳のカバーにもなる優れもの。
「おくすり手帳」にも使えるようにしたのは、薬剤師である和子さんならではの発想。
震災の際、お薬手帳の重要性が見直されたこともあり、
意味を持っての商品展開でした。
こうして続々誕生していった松山トリコの商品。
誕生して3年になりますが、今ではたくさんの内職さんもでき、
社会福祉協議会にとっても大切な事業の一つになりました。
実は3年目にして、いろんな体制が代わり
事業をやめようという話も出ましたが、
関わっているみなさんから「やめないで!」との声。
売り上げは、社会福祉事業に還元されるという仕組みなので、
和子さん自身の身入りは少ないですが、
関わってくれている人たちに必要とされていること、
社会貢献になっているということがモチベーションにつながっています。
和子さんの挑戦はまだま続きます。
続きはまた今度♪