
会社員をしながら、「ジブン業」を増やしていく活動をはじめたうるちゃん。
前回、2024年の秋にはピアノレッスンの副業をはじめたことを書かせていただきましたが、現在2025年夏、すでに違う活動…シェア型書店の「棚主」の活動をされている様子。
シェア型書店とは、「複数の人が本棚の一部を借りて、それぞれが選んだ本を販売する新しい形態の書店」のこと。
棚主とは、そのシェア型書店の一区画の店主のことを指します。
なぜに棚主!?
なぜはじめたの?
今回の記事も、働き方や生き方のヒントがたくさんです。
ぜひ最後まで読んでくださいねっ。
つながりをつくりたい
棚主の活動はいつからしているのでしょうか?
去年の10月、私が住んでいる愛知県豊田市にシェア型書店「ゆたか書店」がオープンしたんですけど、年末に遊びに行って、その場で「棚主になりたいです」って伝えました。
その時は、まだプレオープン中だったので、実際に棚主になったのは2月に入ってからです。

行ったその日に棚主宣言!
またまたすごい勢いですね。
最初から棚主になりたい気持ちがあったのでしょうか?
しかも、サインデザインやピアノレッスンの副業をはじめたばっかりなのに!?
実は、ピアノレッスンをやってみたことも、棚主になるきっかけの一つなんです。
ピアノレッスンのことを発信すると、天才サロン *1のメンバーさんから「近かったらお願いするのに」という声が多くて。
「そういえば、私は豊田市にそういう関係が築けていないな」って自覚したんです。
もちろん職場の同僚やママ友はいるけれど、それ以外のコミュニティがなくて。
注*1 うるちゃんは、私が運営する天才サロン のメンバーさんです。
なんと!きっかけは、そこなんですね(驚)!
愛媛メンバーを見ていると、みんなで集まって一緒にしまなみ街道チャリで行ったり、お寺に行ってたり・・・そういうのいいな〜って憧れて。
天サロで築いたような心地よい人間関係を、今度は豊田市でも作って行きたいなって思ったんです。



それで、地域に関することを何かできないかな?と考えて、ローカルキャリアに関するスクールに申し込んでみました。
そこにはいろんな人がいて、脱サラして豊田市でお店をはじめた人にも話を聞いたりしたのですが、私は会社を辞めたいわけではないので「お店持つのは厳しいな」とか、「子育て中だから、新しい事業に全力投球するのも難しいな」って判断しました。
そんなときに、シェア型書店の話が飛び込んできたんです。
1棚だけ自分で管理して、月に1回ぐらい店番する。
第一歩としてはちょうどよい規模感!
それに“シェア型書店への興味”がきっかけで、いろんな人に私を知ってもらえるのっていいな〜って。
なるほど〜。
確かに、自分ひとりで何かをはじめるよりも、いろんな人が来てくれそう!
うるちゃんの目的である、つながりづくりにはピッタリですね。
それともう一つ、「まちのことをもっと知りたい」という気持ちもありました。
天サロのオフ会で愛媛に行った時、メンバーさんが地元を案内してくれて。
それがすごく嬉しかったんです!
そのときに「誰かが豊田市に来てくれたときに、私もまちを案内したい!自分のまちのことをもっと知りたい」って思ったんです。



あの日の出来事がここにつながっているとは。
うるちゃんは、ひとつの出来事からたくさんのことを感じて、実行に移す力があるよね。すごい・・・!
テーマは「内省と対話」
ところで「うるとら堂」っていう、うるちゃんの棚主ネームはどうやって決めたの?
私のハンドルネーム「うるか」と、大好きなB’zの名曲「ultra soul」をミックスさせました。
「うるかBOOKS」や「うるか文庫」の案もあったけれど、本に限定せず小さいイベントなども試したかったので、「堂」にしてみました。
なるほど〜。
本棚に並べている本の種類はどんな感じなのでしょうか?

テーマは「内省と対話をしたくなる棚主」。
内省と対話につながる本を置いたり、日記カードを置いています。
日記カード?

これが日記カードと日記ファイル。
棚にカードを置いておいて、お客さんに自由にとって書いてもらうスタイル。
人に見せてOKな人は、ファイリングしてもらうような仕組みにしています。
日記に敷居の高さを感じている人も、このぐらいのカードサイズなら書きやすいですよね。

可愛いです!
みんなの日記を読めるのも楽しいですね〜。
ところでうるちゃんは、いつから「内省と対話」の大切さに気づいていたのでしょうか?
数年前ですね。ストレングス・ファインダー®(個人の才能や強みを見つけ出すためのオンライン診断ツール)をやったら、1位が「内省」だったんです。
その後、「リフレクション・内省の技術」という本を読んだんですけど、日記でやっていることも全部内省だということに気づきました。
その本の中に「対話も大事よ」って書いてあって。
私は10歳から日記を書き続けています。
自分のことを考える時間を大事にしたいと思っているのだけど、それだけだと独りよがりになっちゃう。
だから、内省だけではなく、対話とセットなのがいいなって思ったんです。
うんうん・・・すごく分かる。
内側への視点、外側への視点、両方大事だよね。
天サロのオフ会とかで思ったことをシェアしているといろんな気づきがあるし…だから天サロって楽しいんだって。
私も、天サロのような場所を豊田市で築きたいなって、思ったんです。

私の街って、自動車産業のど真ん中で資本主義のまち。
巨大産業の大きなシステムの中にいて、どうしてもそっちの力学に流されやすくなっちゃう。
だからこそ、自分の内面と向き合ったり、それで感じたことを誰かとシェアする習慣が必要だと思うんですですよね。
うるちゃん的には、日記を書いたり内省したことで、よかったなぁと思うことはありますか?
「あまり人に愚痴らなくて済むこと」が一番。
あとは、悶々とする時間が短くなりました。
それから「安心して忘れていい」というのも大きなポイントです。
ずっと覚えておきたいような楽しい出来事も、ノートに書いておけば忘れてもOK!っていうのがラクなんですよね。
「書く」入口に立ってもらうために
ところで、この棚主活動のお金ってどんな感じなのですか?
棚ごとに賃料がかかる感じでしょうか?
詳しくはゆたか書店のnoteに載っているのですが、入会金10,000円(そのうち5000円は退会時に返金)、本棚利用料が1箱あたり月額2500〜3000円かかります。
それに加えて、本が売れた時に販売手数料が100円/冊かかってくるのですが、それ以外は自分の収入になります。
私は「これで儲けてやるぞ〜!」というコンセプトではなく、地域の人たちと繋がりたい、ちょっとしたイベントを試してみたいっていうのが大きいので、そのために借りているイメージです。

イベントもしてOKなんだね!
そうです。
棚主は3ヶ月に1回以上(1ヶ月に1回まで)、「ゆたか書店」の店長をするという決まりがあるんですけど、店長をやる日の何時間かはその場所を自由に使うことができるんです。
わぁ〜それはいいね〜!
今まで、どんなイベントをしましたか?
「午前中の日記を書く会」というのをやりました。
これは、私がフォーマットをつくって、それを使って午前中の日記を書くというイベントです。
MDペーパーが大好きなので、MDペーパーを買って印刷しました。

なんで「午前中」なの?
イベントが13時からだったので、まずは気軽に書けるよう「その日の午前中」をふりかえる日記にしてみました。
書く時間を設けた後、みんなでシェアタイムをとったのですが、起きる時間とか、その日の朝ごはんとか・・・普段誰かにシェアしないような話題がいろいろあって楽しかったです。
おぉ〜なるほどっ。
楽しそうだっ!!!
普段日記を書いていない人は、何を書けばいいか分からないと思うんです。
なので、最初の方に「なぞり書き」コーナーをつくったり、「起床時間」「朝ごはん」などの項目をつくりました。
みなさん「日記ファイル」に、「午前中の日記」の感想を書いてくれたんですけど、「半日を振り返ってみて、午後からいい感じに過ごせそうです」とか書いてあってとってもうれしくなりました。

感想を読ませてもらうと、いかにこのイベントが充実していたのかが伝わります・・・!
「待ちに待ったイベントで大コーフンでした」とか、かわいい〜。
「ちっちゃいことでも書く。それが日記だ。それが分かりました」っていう感想もあって、うれしかったです。
こういった、「書くことの入口」を企画することで、少しでも内省に興味を持つ人が増えたらいいなって思っています。

売りたくない本を置く?
本は売れていますか?
それが・・・半分ぐらいは、非売品として置いているんです。
手放したくないけれど、読んで欲しい本を置いてて。

たしかに〜。
おすすめしたい本ほど売りたくないですよね(笑)
ただ、「せっかく来ても非売品だったら、がっかりする」って言う方もいて、確かにそうだなぁと。
だから今後は、もっと購入してもらえるラインナップを増やしたいなって思いました。
私は棚主の一人ですが、客としてもシェア型書店って、新刊じゃない本が多いから面白いんですよね。
売れたらもう二度と会えない絶版本とかもサラっと置いてあったりするから。
しかも、棚主は3ヶ月に1回は店長するので。
買って面白かった本があったら、その棚主さんが店長しているときに遊びに行って感想を伝えたりできるのも魅力です。
な〜る〜ほ〜ど〜!!!
店長制度は、そういうメリットがあるんだ。
そうなんです〜。
感想伝えるために、わざわざランチに誘ったり、メールしたりするよりも、うんと手軽!
棚主になったおかげで、本を読むようになったのも嬉しい効果です。
「今日はあの棚主さん来るから、あそこで買った本の感想言えるようにしておかなきゃ!」って、ほどよい圧になる(笑)
いいですね〜〜!
図書館で借りた本のような・・・期限付き「読まなきゃ」圧。

棚主は20代の女子から、50〜60代の男性まで、いろんな年齢・属性の人がいるのも面白いポイントです。
職場には、本好きな人が案外少ないので、本のおかげでたくさんの人と繋がって行っている感覚があります。
部活動が楽しい
ゆたか書店には、いくつか部活動があって。
私は、ゆたか書店の「手帳部」の部長もやっています。

へぇ〜!
部活動があるんだっ。
おもしろいっ。
どんな活動をしているのですか?
月に1回、書店に集まって手帳タイムを取るのがメインの活動です。
手帳タイムのあとは、毎月テーマトークを決めて・・・たとえば「愛用ペンについて語る」って決めて、1時間くらい集まった人とおしゃべりしています。
でも今私が一番楽しんでいるのは、手帳部連絡用LINEグループなんです。
ここでのやり取りが、「一日を振り返る習慣」になったらいいなぁという想いで、毎日私がお題を出すようにしたら、それが予想外に盛り上がって・・・。
どんなお題を出しているんですか?

例えば昨日だと、「今日を“コン◯◯”で表すと?」っていうアンケートをつくるんです。
私が4つ選択肢を出しておいて「選択肢を追加OK」ってしていると、誰かがどんどん選択肢を追加してきて・・・
✔︎コンタクト
✔︎コンソメ
✔︎コンクリート
✔︎コンサルタント
✔︎コンシーラー
✔︎コンカツ
どんどん言葉遊びみたいになってきて・・・

もはや何の投票か分からない(笑)!
そうなんです(笑)
でも盛り上がっています。
あとは週に1回週報をシェアしていて、月末には振り返りをするzoomを30分開催しています。
どんどん人数も増えてきて、今20人ぐらいです。
もはやオンラインサロンだっ!!!
大人になってからの、部活っていいねぇ〜。
地域でアウトドア系のイベントをやってる人とかは結構いるけど、文系の部活っぽいことをやってる人たちと出会う機会がなかったので。
一緒に好きな話をできるのが、とても楽しいんです。
そういえば、うるちゃんのZINE「シェア型本屋棚主エンジョイZINE」を読ませてもらったのですが、このZINEもゆたか書店の人たちとつくったの?

これは、ゆかた書店の「ZINE部」の人たちがZINE FESTIVALに出るのに便乗してつくりました。
ZINE部は、「ZINEを作りたい人たちが黙々作業する場」っていうのがコンセプトだけど、今はZINE部で合同誌みたいなのが出せないかな?と盛り上がっています。
秋にそのブックマーケットとか芸術祭みたいなのがあるから、そこでゆたか書店も出店したいよね〜という話も出ています。
みんなで出られるのおもしろそう!
大人の文化祭みたいな感じですね。
副業というより、種まき
お話しを聞かせてもらって、ゆたか書店での活動がいかに充実しているかが伝わってきました。
今後はこの活動を元に、どんなことをしていきたいのですか?
先日、ゆたか書店を離れて「うるとら堂」としてカフェでガラスペンの体験会をしたのですが、
そういうのを少しずつ増やしていきたいですね。
なるほど、「うるとら堂」単体のイベントね・・・!
今まで、せかクリでうるちゃんの「副業」を紹介してきたつもりだったけれど、副業という名の「種まき」みたいなものなんだね。
そんなイメージです。
実際の収益とかいうよりは、これからの土台作りの感じです。
たとえば、自分のZINEを出していたら、「うるかさん、編集してくれない?」って頼まれることもあるかもしれないじゃないですか。
自分では思いつかないような仕事ができるかもしれない。
もともと、副業をはじめたのは、将来会社を退職したときに「これからどうしよう」ってならないため。
収入の柱を増やすためなんです。
だから、今は自分の可能性を広げるタイミングだと思っています。
うるちゃんは、自分のできること、やりたいことに素直だから、これからどんどん柱が増えていきますね。
これから、どんな柱が増えて行くのか楽しみです!
まとめ
今回うるちゃんは、取材とオフ会参加のために2泊3日で愛媛に遊びに来てくれました。

愛知に帰って翌々日には、ガラスペンのワークショップがあるとのこと。
会社員なのに、このフットワークの軽さ!!!
素晴らしいです。
それはやっぱり、うるちゃんが会社でも信頼を積み上げてきているからできることなんだよなぁとも感じました。
もちろん会社の体制が整っているからできることでもありますが、信頼されているからお休みが取りやすいし、応援もしてもらえる・・・そんな印象を受けました。
今は、時短勤務の選択をしているうるちゃん。
「しばらくは、昇格を目指しません」と会社に宣言して、種まきに力を注いでいます。
うるちゃんは「今、やるべきこと」を冷静に見極め、行動できる人。
地元でのコミュニティを得て、これからますます土台が広がっていった先に、また新しい副業とも出会うんだろうな〜。
次のご報告も楽しみにしています。
うるちゃんに、ご質問やご感想があれば、ぜひ下記の「お手紙」からお送りください。
ご本人にお届けします。
撮影:サチカメフォト、RIE DAIFUKU DESIGN
バナーデザイン:デザインオフィスIRODORI